60代の資産運用・お金のこと

60代からのNISA活用術〜“守り”と“攻め”を両立させる賢い資産運用とは


「退職金を眠らせない」時代の到来

60代。現役を引退し、年金生活への移行を意識し始めるこの年代は、資産運用について考え直すタイミングでもあります。「老後の備えは十分か」「退職金をどう活かすか」——そんな問いの中で注目されているのが、**NISA(少額投資非課税制度)**です。

2024年からは新NISA制度がスタートし、非課税枠も拡大されました。これにより、「投資は若い人のもの」というイメージは過去のものに。60代だからこそ、“守りながら増やす”という視点で、賢く使いたい制度となっています。


NISAとは?60代が知っておくべき基礎知識

NISAとは、投資によって得た利益(配当や売却益)に対して税金がかからない制度です。
新NISAでは「つみたて投資枠(年間120万円まで)」と「成長投資枠(年間240万円まで)」が併用可能になり、生涯の非課税枠は1,800万円に設定されました。

この枠内であれば、どれだけ増えても税金は0円。つまり、「資産を効率的に運用したい」と考える60代にとっては見逃せない制度です。


60代がNISAを活用するメリット

① 預貯金だけでは資産は守れない

現在の日本では金利が非常に低く、銀行に預けてもほとんど増えません。インフレ率を考慮すれば、実質的には資産価値が目減りしている状態です。NISAを活用することで、インフレ対策をしながら資産を守るという選択が可能になります。

② 節税しながら資産運用できる

通常、株式や投資信託で得た利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISAならこの税金が一切かかりません。つまり、手取りの利益を最大化できるのです。

③ 年齢制限がない

NISAに年齢制限はありません。60代でも70代でも、口座を開設し運用を始めることができます。「今さら」と思わず、始めた人が“得をする”制度です。


「守り」と「攻め」のバランスを取る考え方

資産運用と聞くと「怖い」「損をしそう」というイメージを持つ方も少なくありません。ですが、リスクをコントロールしながら増やす戦略を取ることで、堅実な資産形成が可能になります。

守り:つみたて投資枠を活用

・インデックス型の投資信託(例:全世界株式・米国株式など)を毎月積み立て
・長期で運用することでリスクを分散
・「ドルコスト平均法」により、価格変動リスクを平準化

つみたて枠はまさに“守りの資産運用”です。大きなリターンは見込めないかもしれませんが、安定感があり、将来への備えとして有効です。

攻め:成長投資枠を使い分ける

・個別株やリスクを取った投資信託にも挑戦可能
・「余裕資金」で、自己責任でチャレンジするのが鉄則
・注目分野(AI、医療、再生可能エネルギーなど)への投資で将来性を狙う

成長投資枠は、「今ある資金を賢く活かしたい」という方向け。リスクはあるものの、NISAなら損益通算や繰越控除が不要なため、利益が出た分だけ得をする仕組みです。


よくある60代の悩みとNISAの答え方

Q. 退職金の一部をNISAで運用するのはあり?
→ 全額ではなく、一部(数百万円)を時間分散しながら投資することでリスクを抑えつつ増やせます。

Q. 年金生活中でも使える?
→ 毎月1〜2万円など、少額から積み立て可能。生活費に支障が出ない範囲であれば、十分に活用できます。

Q. 家族とどう相談すべき?
→ 金融リテラシーの共有は家族全体の資産管理にもつながります。口座開設や銘柄選びを一緒に検討するのもおすすめです。


情報収集は“自分の目”で

NISAに限らず、投資の世界は情報の鮮度が命です。とはいえ、怪しいセミナーや過剰に煽るSNS投稿には注意が必要です。

信頼できる情報源としては:

・金融庁の「資産運用シミュレーション」
・証券会社の公式コンテンツ(SBI証券、楽天証券など)
・中立的なFP(ファイナンシャルプランナー)の発信

最終的には「自分の理解」と「納得」が一番大切です。


最後に:投資は「将来の自分」へのプレゼント

60代からの投資は、決して“儲け話”ではありません。これからの暮らしを守るため、家族に負担をかけないため、そして自分らしい生き方を貫くための手段です。

NISAはその最初の一歩として、非常に優れた制度。小さく始めて、大きな安心を育てる——そんな運用スタイルが、これからの60代にフィットしているのではないでしょうか。