「自由な時間があるのに、なぜか満たされない」——そんなときは
60代。定年を迎え、子育てや仕事から少しずつ解放され、
「やっと自由な時間ができた」という人も多いのではないでしょうか。
けれど、実際には——
- 1日がなんとなく過ぎてしまう
- 好きなことが思いつかない
- 何を始めても続かない気がする
そんな、“時間はあるのに、心が満たされない”という状態に陥ることも珍しくありません。
それは「楽しみ方」がわからなくなっているからではありませんか?
この記事では、60代からの暮らしを彩る**「楽しむ力」の育て方**を、
趣味・学び・日常の小さな工夫の3つの視点でやさしくご紹介します。
【1】趣味は“生きがい”じゃなくていい。「なんとなく好き」で十分
「何か趣味を持ったほうがいいですよ」と言われるたびに、
「趣味って、そんなに立派なものじゃなきゃいけないの?」と感じたことはありませんか?
▷ 趣味は「形」より「気持ち」
- 毎朝コーヒーを丁寧に淹れる
- テレビの旅番組を見ながら地図帳を開く
- スーパーの鮮魚売り場で旬の魚を探す
こうした“日常の中にある楽しみ”も、立派な趣味です。
趣味とは、「義務感なく続けられるもの」。
人に見せるものでも、成果を出すものでもありません。
▷ 初めてのことは、まず“見るだけ・読んでみるだけ”
- 美術館の展示に足を運ぶ
- 近くのカルチャースクールのチラシを読む
- YouTubeで誰かの趣味生活をのぞいてみる
自分がワクワクする“何か”は、意外と身近に転がっているかもしれません。
【2】学び直しは「知識」よりも「思考の余白」を育ててくれる
60代からの学びには、「資格取得」や「勉強し直し」だけでなく、
「頭と心に新しい風を入れる」という目的もあります。
▷ 学ぶテーマは“関係なさそうなこと”こそ面白い
- 哲学・歴史・天文・心理学・俳句・発酵学など
- 「若いころ興味はあったけど手が出なかったもの」
- 「意味が分からないけど、なぜか惹かれる分野」
このような“脱・実用”の学びは、60代からこそ味わい深くなります。
学びは結果を求めなくていい。
「分からないを味わう」という贅沢が、大人の特権なのです。
▷ オンライン・地域・図書館——学びの入り口は今、無数にある
- スマホでNHKラジオの講座を聴く
- 市の文化センターや生涯学習講座に参加する
- 読書会や歴史散歩など“集わないゆるいつながり”で学ぶ
「学ぶ=学校に通う」ではなく、
「新しいことを知る時間を持つ」ことが、学びの本質です。
【3】日常の“ちょっとしたこと”に目を向けるのが、実は最強の楽しみ方
60代からの「楽しむ力」とは、
“派手な出来事がなくても幸せになれる力”のことだと思います。
▷ 小さなルーティンに“意味”をもたせる
- 朝の一杯のお茶を「お祝いの時間」と呼ぶ
- 洗濯物を干すとき、「太陽と話す時間」にする
- 雑誌を切り抜いて、スクラップノートを作る
何気ない毎日が、**ちょっとした演出で「自分だけの物語」**になります。
▷ 「よかったこと日記」で、気持ちを拾い集める
1日の終わりに、3つだけ「よかったこと」をメモする。
- 空がきれいだった
- スーパーで好きなものが安かった
- 夕方の風が気持ちよかった
これだけで、毎日の中に“自分だけの光”を見つける習慣がつきます。
まとめ|「楽しむ力」は、60代からの人生を豊かにしてくれる
楽しみは、誰かから与えられるものではなく、
自分で拾い、味わい、選びとるもの。
そして、60代からの人生には、
その楽しみを“自分のペース”で深く感じられるだけの時間と経験があるのです。
- 趣味は、人に見せなくてもいい
- 学びは、成果がなくてもいい
- 幸せは、派手じゃなくていい
「楽しまなきゃ」と気負う必要はありません。
“なんとなく気持ちいい”ことを、毎日ひとつずつ。
それが、あなたの暮らしをしなやかに支えてくれます。