これまでマネジメント経験を積んできた50代、60代の皆さんの中には、
いざ役職定年を迎えたり、転職を検討するタイミングで
「自分には何ができるのか?」「マネジメント経験は次の職場でも評価されるのか?」
と不安になる方が多いのではないでしょうか。
実際に多くの大企業では55歳や60歳で役職定年制度を設けています。
これまで組織の中で部下を束ね、経営陣に提案し、
“声が届く立場”で会社を変えることに関わってきた方々も、
肩書きが外れることで一気に裁量を失う現実に直面します。
では、これまでのマネジメント経験を、別の会社・別の環境で活かすには
どのような選択肢があり、どんな準備をしておくべきなのでしょうか。
今回は、具体的なキャリアの方向性と、面接で語れるようにしておきたい
ポイントを整理してお伝えします。
■ マネジメント経験は“そのまま”では通用しないこともある
「私はマネージャーでした」「部長でした」という肩書きは、
社外に出るとほとんど意味を持ちません。
重要なのは、
その役職でどのようなことを実現してきたのか。
そして、その経験を新しい現場でどのように活かせるのかを言語化できるかどうかです。
■ 活かし方の方向性|コンサルティング企業という選択肢
マネジメント経験を活かす先として多いのは、
ITコンサルティング企業です。
ITコンサルでは、BP(ビジネスパートナー)やプロジェクトメンバーを管理しながら
クライアントの課題を整理し、解決策を提案していきます。
ただし、ここで重要なのは
“提案力”が何よりも必要になるということです。
あなたはPowerPointで提案資料を自分で作れますか?
顧客が言葉にしていない要望や本音をくみ取り、形にすることができますか?
場合によっては経営層との商談に同席し、ロジカルに話を進める必要もあります。
多くの人が見落としがちなのは、
「マネジメントだけやってきました」では不足するという点です。
これまでに
「顧客の課題をどう整理してきたか」
「どのような提案を形にしてきたか」
「どんな業務改善を進めたか」
をエピソードベースで語れるかどうか。
コンサルティング企業での活躍を目指すなら、
提案型のスキルは必須です。
「私はマネジメントが得意です」というだけでは
通用しない世界なのです。
■ 活かし方の方向性|技術派遣系の会社という選択肢
もう一つ、比較的マネジメント経験を活かしやすいのが
技術派遣系(SES)や受託開発企業です。
技術派遣では、あなたがフロント(顧客窓口)として対応し、
現場の複数メンバーを連れて案件に入るという働き方が一般的です。
ここで求められるのは、
「あなたがどれだけの規模のプロジェクトをリーディングしてきたのか」
を、具体的に伝えられる力です。
「何人月で、何人のメンバーをどのようにまとめたのか」
「どのように進捗を管理し、問題解決をしてきたのか」
さらに、
そのプロジェクトの技術的な中身を語れるかもポイントです。
「管理だけしてました」では、“中身のない人”と思われてしまいます。
技術的な課題や仕様について、現場メンバーと会話ができるか。
問題が起きた時に、何を見て何を判断してきたのか。
「技術は部下に任せていたから何も分からない」では、
残念ながらフロントを任されることは難しいでしょう。
■ 実は見られている“歳の離れた人とのコミュニケーション力”
転職面接では、技術力や管理スキルだけでなく、
「どんな人柄か」も厳しく見られています。
なぜなら、役職定年後の方が現場で失敗しやすいのは、
コミュニケーションの柔軟性を失っている場合が多いからです。
あなたの周りの役職者を思い出してみてください。
年下の上司に対して不満を漏らしたり、
若手に対して「最近の若い奴は…」と嘆いたり。
企業側が本当に欲しいのは、
「自分よりも年下の役職者の下であっても、チームのために柔軟に立ち回れる人」。
頑固になってしまうよりも、現場の意見を吸い上げて調整役になれる人です。
■ 経験を体系化して語れるか
マネジメント経験を活かしたいなら、
単なる経験談に留まらず、
体系だったマネジメント知識を持っているかどうか
もポイントです。
例えばPMBOKやPMP資格で学ぶような管理のフレームワークを理解しているか。
心理的安全性を確保するために、何を意識してプロジェクトを回してきたか。
「なんとなく管理していました」では通用しません。
自分の行動をロジカルに整理し、
「どのように問題を未然に防ぎ、メンバーのパフォーマンスを最大化したのか」
を説明できる人は、企業から見ても即戦力です。
■ 役職定年後にマネジメント経験を活かすための準備
それでは、具体的に何を準備すべきでしょうか。
面接でスラスラ話せるようにしておくべきポイントを整理しておきます。
✅ どんな規模のプロジェクトを管理してきたか
✅ どのような課題をどう解決してきたか
✅ 技術的な詳細をある程度語れるか
✅ 顧客との提案・交渉経験を整理できているか
✅ 年下との柔軟なコミュニケーションのエピソードがあるか
✅ マネジメント知識をどう現場で実践してきたかを語れるか
これを文章化してみるだけでも、自分の強みと弱みがクリアになります。
■ あなたのマネジメントは“どこでも通用する”ものに変えられる
役職定年後に「自分はもう終わりだ」と思う必要はありません。
会社での肩書はなくなっても、
あなたが積み上げてきた人と組織を動かす経験は、
形を変えればどの会社でも役立ちます。
提案力を磨けばコンサルの道がありますし、
現場に入って人をまとめる力を活かせば、技術派遣系の会社でも活躍できます。
一番大切なのは、
「自分はマネジメントしかやってこなかった」ではなく
「どのようにマネジメントをしてきたのか」を言葉にすることです。
■ まとめ|役職定年後は“自分を言語化する”がすべて
50代、60代のマネージャー職の方々は、
これからのキャリアを作るために
「自分が何をやってきたか」「それをどのように伝えるか」を
整理するところから始めてみてください。
肩書は変わっても、あなたが人を動かし組織を良くしてきた事実は変わりません。
ぜひ、
「自分のマネジメント経験を現場でどう活かせるか」
を問い続け、言葉にし、そして新しい場所でまた価値を発揮してください。
✅ おすすめの次の一歩
✔ 経験棚卸しワークシートを作る
✔ 過去の提案書やプロジェクト資料を見返しておく
✔ 若手と一緒に働く自分をイメージしてみる
役職定年後のキャリアは、あなたの言葉で切り拓けます。
あなたの挑戦を応援しています。